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2018年10月21日日曜日

第15回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会(Y-Basis)

第15回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会
日時:2018年10月13日(土) 14:30~18:00
会場:医療法人 光陽会 関東病院  8階談話室

今回は、
「それぞれの場所で それぞれの職種の 摂食嚥下への関わり方」
をテーマに、3名の先生方からご講演いただきました。

①急性期領域―看護師の視点から
座長:磯子中央病院  看護部長 古澤 友美先生
講師:横浜市立大学付属市民総合医療センター  看護師 荒木 昌美先生

荒木先生からは看護師の視点からお話いただきました。急性期では、入退院が頻回で日々目まぐるしい現場である中、救命だけではなく、患者様がその人らしく生きられる支援を目指したケアを行われているというお話がありました。
過介助を避け、患者様の機能を引き出した動作を行っていただきながら、スタッフ全員が同じ水準で介助・ケアできることが重要。医療者の都合ではなく、患者様の苦痛を軽減させる努力をする。
というお話をきき、急性期でも維持期でも共通しているところは多くあるのだと改めて学びました。


②回復期領域―管理栄養士の視点から
座長:関東病院  理学療法士 宗村 明子 先生
講師:横浜市立脳卒中・神経脊椎センター  管理栄養士 熊谷 直子先生

熊谷先生からは、管理栄養士の視点からお話いただきました。様々な回復段階の患者様がいらっしゃる中、見た目や美味しさに工夫を施しながら、その人がどう生きたいのか、どのような目標を持っているのかに沿ったアプローチをされているとのことでした。
急性期同様、患者様の人生そのものに着目する視点は共通しており、患者様がどの回復段階に立たれても共有されたいものだと感じました。


③生活期領域―介護福祉士の視点から
座長:関東病院  作業療法士 成田 雄一先生
講師:特別養護老人ホーム 横浜市浦舟ホーム  介護福祉士 太田 純平先生

太田先生からは介護福祉士の視点からお話いただきました。
先生の経験された実際の利用者様のエピソードを交えたお話で、分かりやすくおもしろく、また普段こういう患者さんよくみるな、と思いながら聞かせていただきました。
先生のお話では、「食」「心」「体」をケアし整えることが大切であるとのことで、患者様や利用者様のお困りごとは、大きくこの3つに分類できる、という考えのもとのお話でした。
自分の患者様の様子と照らし合わせながらお話を聞かせていただくことができ、とても参考になりました。


④ディスカッション
座長:関東病院  作業療法士 成田 雄一 先生

ディスカッションでは、今回ご講演いただいた3名の先生方へ、研究会参加者の先生方よりご質問いただき、とても活発なやりとりの様子がうかがえました。







各病期における考え方について、多職種の視点からお話いただきました。
どのご講義も明日からの臨床の糧となる内容で、自分の患者様の病態や様子を見直すきっかけとなり、またその際の視点をいただけた機会になったと思います。


次回の研究会予定は12月8日となります。学術集会大会長の宗村明子先生より趣旨説明がありました。


今年の学術集会も学びの多いものとなる様に頑張りますので、
皆様、是非ともお誘い合わせの上、ご参加いただければ幸いです。

文責:安部早紀(作業療法士)

2018年8月7日火曜日

第14回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会

14回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会のご案内

【 医食同源 ~ 鉄心石腸を持つ ~ 】
日時平成30721日 土曜日  1430分~1800
場所関東病院  8階 談話室

【シンポジウム】
糖尿病診療update 
~リハビリテーション職種の役割とは~

座長:管理栄養士   毛利 悦子 先生
講師:糖尿病内科   藤崎 公達 先生
   理学療法士   宗村 明子 先生
   作業療法士   成田 雄一 先生

糖尿病内科医の藤崎先生からは、「コーチング」を中心としたお話をいただきました。
対象の方が、自発的・継続的に目標に向かえるよう支援するものをコーチングとし、対象者を大きく4つに分類する「タイプ分け」について紹介されました。

患者様の現状の気質や治療方針など、多職種間での共有がしやすく、患者様に合った治療が期待されます。時間をかけず、簡易に取り組める「タイプ分け」の有用性について学ぶことができました。

理学療法士の宗村先生からは、「理学療法とは」「運動療法とは」という基本から、糖尿病による足病変、それに対するフットケアについて、運動についての重要性に関してもお話しいただきました。
当院でも、糖尿病教育入院、外来での治療、支援を行っております。退院後、通院される方へのフォローも強化できるシステムの構築が重要であると再認識できました。

作業療法士の成田先生からは、まず「作業療法」の定義についてからお話しいただきました。作業療法士が関わる場面として、日常生活動作、趣味活動、福祉用具の使用、高次脳機能障害・精神心理面へのアプローチなど様々ですが、患者様が有意義とする生活行為へ関わり、生き方を支援する職種であるといったお話でした。

糖尿病支援においても、生き方を変える(行動変容)支援が重要となりますが、精神心理面や、生活行為にかかわることを得意とした職種である作業療法士の介入も同時に重要であると考えられます。

そのために、作業療法士とは何か、何ができる職種なのかを多職種に知ってもらえるよう、啓蒙を続けていく必要があると考えさせられました。



【ワークショップ】
終末期におけるアロマテラピー活用術 
~香りとタッチの効果~

講師:作業療法士   西尾 香苗 先生


ワークショップでは、当院作業療法士であり、MAA認定 メディカルアロマセラピストの西尾先生から、アロマテラピーと効果についてお話いただきました。
においの効果やアロマテラピーの効果が期待できる疾患、タッチの効果やその意味に関する知識を中心とした内容で、特に緩和ケアとアロマテラピーの関係については、大変興味深く聞かせていただきました。


 
単に「いいにおい」、「気持ち良い」というだけのものではなく、患者様のQOLや精神心理へもアプローチできる、アロマテラピーの可能性を考えさせられるお話でした。
終りには実際に西尾先生の手技を見て学ぶことができました。


今回も4名の先生方より、明日からの臨床の糧となるお話を聞かせていただくことができました。
明日からも多職種の視点から協働していけるよう研鑽を積んでまいります。

文責:安部早紀(作業療法士)

2018年4月2日月曜日

第13回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会

13回 横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会
~臨床と研究が融合していくために必要なクロスオーバーラップ~


日時:2018317日(土) 14301800
会場:医療法人 光陽会 関東病院  8F談話室

【特別講演】
糖尿病治療継続における現実
~Ⅰ型糖尿病23年目、作業療法士(OT7年目が思うこと~
講師:医療法人 博仁会 志村大宮病院 訪問リハビリテーションセンター
   作業療法士  谷津田 尊寛 先生

今回の特別講演では、茨城県より作業療法士の谷津田先生をお招きし、Ⅰ型糖尿病患者であり作業療法士であるという立場からお話いただきました。
限られた時間ではありましたが、幼少期のつらい記憶や、社会人になってからの苦悩まで、わかりやすくまとめて頂き、とても理解しやすい内容でした。
中でも東日本大震災で起こった被災地でのインスリン不足のお話は衝撃的で、被災地へのインスリンの供給がなされたものの、やはり十分に行き渡ることなく、どこかで患者様が不安になっていたり、困っていたりするという事実は、医療従事者として知っておかなければならないことだと感じ、とても考えさせられる内容でした。




【ワークショップ】
臨床研究を行うための研究デザイン
~糖尿病療養指導・健康増進分野を中心に~
(全3回 3回目 統計手法はなぜ必要か)
講師:もろおかクリニック リハビリテーション科
   慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科
   理学療法士  田島 敬之 先生

ワークショップでは、臨床研究を行うための研究デザインについて、引き続き田島先生よりお話しを頂きました。
 今回は、統計学とは何か、統計学の用語・手法、解析を中心として、グループディスカッションを交えながら学びました。


統計は論文を読む際、また学会等で発表を拝聴する上で避けて通ることのできないもので、統計学の知識があれば研究者の真意を理解でき文献検索の幅も広がります。


「統計」というと取っつきにくく難しそうで、用語の理解からするのは大変そうと思われがちですが、田島先生のお話はとてもわかりやすく、会場では笑いも起こりながらディスカッションがすすんでいました。

  
今年度の研究会は今回を以って無事に終了いたしました。
来年度もさらに学びを深めていけるよう、皆様のご支援を授かりながら、研究会メンバー一同、努力を続けてまいりたいと思います。